1920年。その歴史はまさに工具の歴史。究極のハイエンドツール、それはスナップオン(SNAPON)。
スナップオン(SNAPON)。その歴史は古く、創業は1920年。
自動車ディーラー、レーシングメカニック、航空整備士などタフな整備を行う「プロ中のプロ」が愛用する究極のツール。
ジョセフ・ジョンソンが発明した「インターチェンジャブルソケットレンチ」を礎に名をあげ、スナップオン・レンチ・カンパニーとしてその活動を開始。移動店舗によるいわゆる「バンセールス」による独特の販売網により業務を拡大します。ちなみに日本にこの「スナップオンバン」は500台くらいあるそうです。
ちなみにこのバンセールス、フランチャイズですからアナタもその気があればオーナーになれます。
憧れのツールであるだけのことはありその価格も最高クラス。ブルーポイントと呼ばれる廉価価格帯のラインナップもありますが、それはここでは触れません。
人気、歴史、価格。すべてトップクラスの超有名工具スナップオン。その実力をじっくりと分析しましょう。
そう、我々アマチュア目線でね!
オープンエンド部。これが、すべてのオープンエンドのお手本となった。
まずは、オープンエンド部です。この形状こそが、ベーシックと言える形状。
適度にコンパクト、適度にスリム。先端は軽い槍形状となっており、いかにもアプローチ性はよさそうです。
さて、日本のハイエンドツール、ネプロスと比較・・・
左がスナップオン、右がネプロス。
若干、ネプロスのほうが「槍」がタイトです。基部の形状は極めて似ていますが、若干スナップオンのほうがごつい印象。ネプロスのほうがスマートに見えるのはひいき目でしょうか?
ほとんど好みの差、という感じで恐らく作業性においては双方甲乙付けがたし、でしょう。
立てて並べてみると・・・
むむむ、はっきりとした差が!
左のスナップオンはネプロスより厚みがあります。そして、明らかに異なるのがボルトとの接触面の面精度。
手前がネプロス、そして奥がスナップオン。パーフェクトな鏡面を保つネプロスと、恐らくせん断痕を消し切れていないスナップオン。
いかがでしょう、その仕上げは明らかにネプロスに軍配が上がります。
ちなみに2面幅はネプロス、スナップオンともに10.30mm。精度は互角とみてよいでしょう。
メガネ部は「フランクドライブ」。
次にメガネ部。スナップオンの代名詞、フランクドライブ形状。公式サイトによれば、
スナップオンが米国軍から要望を受けてから、すでに40年以上が経過しました。当時米軍ではジェットエンジンの軽量化にともない、ボルト、ナット類(ファスナー)を小型化する計画が進行されていました。これにより、小型化されて新材質となったファスナーヘッドに対して十分な張力を発揮させるため、より強いトルクで締めることができるレンチが求められました。こうして完成したのが「フランクドライブ®・レンチシステム」。レンチにおける最大の発想がここに誕生したのです。
だそうです。そのメリットは2つ。
- レンチまたはソケットの角に曲面部を設け、ファスナーヘッドとの接点(力点)を角から側面(フランク)に移したこと
- 曲面部の奥側に最適な角度で平面部を設け、レンチとファスナーヘッドの平面同士を接触するようにしたこと
この結果、従来より最大20%もの高いトルクを発揮することができ、米軍はファスナーを小型化、ジェットエンジンの軽量化を実現した・・・そうです。
もちろん他メーカも同様の形状を独自に(?)開発しており、この花びらのような曲面を生かした形状はもはや珍しくはありません。
そして私の大好きな「座繰りの少ない」フラットな座面。極めて使い勝手はよさそう。
では、再び比較してみましょう。
左がスナップオン、右がネプロス。写真で見るとほぼ同一に見えますが、実はスナップオンのほうがわずか(0.35mm)に大きいのです。そして厚み。
ごめんなさい左右逆になっちゃった。左がネプロス、右がスナップオン。
コレはもうはっきりと見てわかるくらい差があります。数値的には0.9mm、スナップオンのほうが厚みがあります。とはいえ、この差が実際の作業性に影響するかといえば、全く影響はないでしょう。見た目の問題です。
そして、これも見た目の問題ですがなんどかこのサイトでも取り上げているメガネ部の立ち上がり角のつけ方。スナップオンもネプロスもその角度は15度で同一ですが、きれいにネック部からすっと立ち上がっているネプロスに対しスナップオンは柄の曲げが目立ちます。
これもまあ、好みの範疇ですが・・・
鏡面の美しい握り。スナップオンのロゴ、サイズ表記が美しい。
柄はシンプルな形状で、サイドは平面です。
厚みはネプロスより0.15mm薄く、幅は0.5mm狭い。短めの全長と相まって、取り回しは極めて軽いです。この軽さは作業性に大きく影響するポイント。
美しい鏡面であるため、ハゼットやスタビレーと異なり油で濡れた手でのすべりは正直気になるところ。
でも、これも作業者(あなた)の好みとスタイルで評価は分かれるところですが、どちらが優れているとは言えません。
総論として、アマチュアには正直向かない?プロが本当に求めるトコロによさがある。
最も有名であり、もっとも評価の高いツールであることに異論がある方は少ないでしょう。
しかし、その「良さ」とはなんでしょう。
- 高い精度と操作性、信頼性
- ハイエンドツールならではの圧倒的なステイタス
しかし、これらはスナップオンの専売特許ではありません。スナップオンならではの特徴といえば、それは
- バンセールスによる販売力
- 条件付きながら事実上の永久保証
ですね。しかし。
文字通り「腕を売って商売をしている」プロのメカニックならばこれらの恩恵は確かにあります。工具の使用頻度はアマチュアの我々とは比較にならず、したがって工具への負荷は当然格段に高い。「通常使用の破損」に対しての保証は心強いものでしょうし、工具が壊れて手が止まったら商売あがったりのプロにとってバンによる巡回販売もまた強い味方でしょう。
しかし。
これらは我々アマチュアにとっては、あまりメリットとはなりません。どんな工具だって(このサイトで紹介しているようなモノであれば・・・ダイソーは除く)「アマチュアの通常使用」では壊れることはほぼありませんし、また購入だって数日待てればネットで大抵のものは入手できます。
ソケットを使わずオープンエンドで固いネジを力任せにパイプかまして回したら壊れた、なんてのは論外です。
プロと同じ工具を使いたい。
これは、正しいモチベーションです。否定されることは全くありません。
しかし、我々アマチュアがスナップオンの恩恵に預かれることは恐らくない、と私は言い切ります。そして価格を考えると・・・あの「ボルトとの接触面の面精度」を比較して見てしまった今・・・私はネプロスに軍配を上げます。
とはいえ、やはりプロの方々スナップオンに極めて高い信頼を寄せています。「使い込んだ工具はメッキが剥がれて手を切ったりするものだけど、スナップオンのメッキが剥がれたのはみたことがない」というお言葉を頂いています。
やっぱり憧れでスナップオンを選択する。
それも、もちろんアリです。だって、それも含めての「機械いじり」「工具選び」ですから。
その価格は?10㎜コンビネーションレンチの場合。
実売価格 | 4,300円(並行品、保証なし、レートにより変化あり) |
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スナップオンの最大のメリットである永久保証を受けられない並行輸入品でもこの価格。プロが使う、プロのための工具を手に出来るならば安い・・・のかも。
使ってみると・・・
(執筆中です、お待ちください)
お勧め度:アマチュアには勧める理由がない。だが、スナップオンであること、がその理由になるときもある。
まさにプロが使うプロのための道具。ジェットエンジンの整備士の要求に耐えるサービス、品質。
それはアマチュアに本当に向いているのかどうか。しかし。
工具が欲しいんじゃない、スナップオンが欲しいんだ!
という選択も当然アリ。さあ、どうする?
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これ、行きつけのバイク屋さんの大将がめっちゃ褒めてました。プロがこの長さを求めるとき、それはハードな作業であることは容易に想像できます。その期待に応える逸品がコレ。
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スナップオンを有名にしたインターチェンジャブルソケットレンチの流れをくむであろうソケットセット。刻印がカッコいい。
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工具が買えないアナタ(ワタシ)は、せめてキャップでも買いましょうか。いかにもアメリカン、でかっこよろしい。